農業用途での活用用途で期待される生分解性フィルム

農業現場では、作物を守るためにさまざまなフィルム資材が使われています。養生シート、被覆材、マルチシートなど、その役割は多岐にわたりますが、多くに共通しているのが「一定期間使ったら役目を終える」という点です。
一方で、その役目を終えた後の「回収する→廃棄する」が、現場の大きな負担になっているケースは少なくありません。人手不足が進む農業分野において、この後処理作業は年々重くのしかかっています。
吉野化成では、生分解性フィルムを「環境にやさしい素材」としてだけではなく、「農業現場の作業を減らすための素材」として捉え、農業用途への展開可能性を検討しています。本記事では、現状の課題を整理しながら、生分解性フィルムがどのような場面で価値を発揮できるのかを言語化します。
農業用フィルムが抱える現場の課題
農業用フィルムは、作物の生育環境を整えるために欠かせない存在です。しかし、その多くは使用後に必ず撤去・回収が必要となります。
例えば、養生や被覆のために使われたフィルムは、収穫や生育段階が終わると剥がさなければなりません。マルチシートの場合も同様で、土や根が絡んだ状態での撤去作業は、体力的にも時間的にも大きな負担となります。
また、回収漏れによるフィルム片の残存は、景観や環境面での問題につながることもあります。農地という自然と密接した環境だからこそ、「使った後どうするか」は避けて通れない課題です。
生分解性フィルムという考え方
生分解性フィルムは、一定の条件下で微生物の働きにより分解され、最終的に自然に還る特性を持つ素材です。この特性は、使用期間があらかじめ想定されている農業用途と非常に相性が良いと考えられます。
農業用フィルムの多くは、恒久的な耐久性を必要としません。必要な期間だけ役割を果たし、その後は自然に役目を終えることができれば、回収や廃棄という工程そのものを減らすことができます。
想定用途① 農作物にかぶせる養生・被覆用途
苗や若木、作物を一時的に保護するための養生・被覆用途では、フィルムはあくまで「補助的な存在」です。霜よけ、風よけ、乾燥防止などの役割を果たした後は、不要になります。
現状では、使用後にフィルムを剥がし、回収し、廃棄する必要がありますが、作業のタイミングを逃すと負担が増えたり、回収漏れが発生したりします。
生分解性フィルムを用いることで、使用後にそのまま土に還すという選択肢が生まれます。特に短期から中期の養生用途では、耐久性よりも「役目を終えた後の扱いやすさ」が重視されるため、生分解性という特性が活きてきます。
想定用途② マルチシート用途
マルチシートは、雑草抑制や地温管理などに欠かせない資材ですが、収穫後の撤去作業が大きな負担になることが知られています。土や根が絡みつき、破れやすくなったシートを剥がす作業は、時間と労力を要します。
生分解性フィルムをマルチ用途に使用すれば、収穫後に剥がさず、そのまま耕起するという運用も検討可能になります。これにより、撤去作業を省略できるだけでなく、作業スケジュール全体の効率化にもつながります。
もちろん、分解速度や使用期間の設計が重要になりますが、「マルチは剥がすもの」という前提を見直すきっかけになる素材と言えるでしょう。
想定用途③ 農業資材の仮包装・保護用途
農業現場では、苗や資材を一時的に包んだり保護したりするためのフィルムが多く使われています。これらは短時間の使用後、すぐに廃棄されるケースがほとんどです。
生分解性フィルムは、「すぐに捨てられる前提」の用途と親和性が高く、回収や処理を前提としない運用が可能になります。環境配慮型農業を意識する現場や、ブランド価値を重視する農業法人にとっても、検討の余地がある用途です。
生分解性フィルムは万能ではない
生分解性フィルムは、すべての農業用途に適しているわけではありません。長期間にわたって高い耐久性が求められる用途や、強度が最優先される場面では、従来のポリエチレンやポリプロピレン製フィルムの方が適している場合もあります。
重要なのは、「回収や撤去が課題になっている用途」に限定して検討することです。用途を正しく見極めることで、生分解性フィルムの価値が最大化されます。
吉野化成が考える農業向け生分解性フィルムの位置付け
吉野化成では、生分解性フィルムを“環境配慮のための選択肢”としてだけでなく、“農業現場の作業を減らすための実用素材”として位置付けています。
インフレーション成形によるフィルム製造を通じて、用途や使用期間を想定した厚み・物性設計を行うことで、農業用途に適した生分解性フィルムの提案が可能です。
農業向け生分解性フィルムのご相談について
生分解性フィルムの農業用途は、使用環境や作物、作業工程によって適・不適が分かれます。「剥がす作業を減らしたい」「回収しなくてよい資材を検討したい」といった課題をお持ちの場合は、ぜひ一度ご相談ください。
吉野化成では、用途を限定した現実的な視点から、生分解性フィルムの活用可能性を一緒に検討しています。